本研究は2年計画で行われる。生体のような高濃度散乱体おける深さ方向の光学定数分布を後方散乱光より、超音波変調法及び低コヒーレント光干渉法の機能的な結合による生体断層撮影技術開発を最終目的として、以下の結果が得られた。 1.計測用光源、計測システムの最適化および無散乱体における実験的評価 本計測手法を実現するため、計測用光源及び計測システムの最適化を図る必要がある。集束される超音波は数mm程度である。そのため光源も同程度のコヒーレント長であれば十分と考えられる。しかしながら、光コヒーレンストモグラフ(OCT)で一般的に使用される光源であるスーパールミネッセントダイオードは10μm程度と本計測手法にはコヒーレント長が短すぎる。そこで超音波変調光の検出能について、数mmまでのコヒーレント長を有する光源を種々検討した。その結果、波長に関して600〜800μmの可視及び近赤外領域では大きく変化しないことが明らかとなった。更に、コヒーレント長に関しては数百μmまでは検出能は大きく変化しないが、数mm程度まで長くなると検出能は向上することが明らかとなった。 2.散乱媒質中での計測法の実験的評価 前項目の結果をもとに、散乱体における計測システムの評価を行った。従来まで使用してきたミラー等の反射体では実際の生体とは大きく異なる。そこで実際の生体への適応を考えるには、生体軟組織を模擬したファントムによる実験が必要となる。そこで、軟組織として寒天を用いた散乱体ファントムを作成し実験を行った。その結果、軟組織を模擬したファントム界面からの超音波変調光の検出が本手法により可能であることが明らかとなった。
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