研究概要 |
ポリホスフェートヒドロゲルの調製 2-(2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホロイルオキシエチルメタクリレート(OPEMA)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)は既報に従い合成した。イソプロピル基をもつ環状リン酸化合物(IPP)とOPEMAを所定量仕込み、トリイソブチルアルミニウムを開始剤として加えアニオン重合により、二重結合を側鎖に有するポリホスフェートを合成した。ポリホスフェートの分子量はゲル浸透クロマトグラフィーで求めた。再沈殿を繰り返し十分に精製したポリホスフェートとMPCを所定の濃度でエタノールに溶解し、重合開始剤にAIBNを用いラジカル重合でポリホスフェートゲルを調製した。ポリマーの構造解析は、FT-IRおよび^1H_-、^<31>P-NMRを用いて行った。 ポリマーゲルの特性評価 ゲルの膨潤度、レオメーターにより力学強度を測定し、ゲルの化学組成との関連性を明らかにした。分解性は分子量および重量の変化に着目し、酵素(ホスファターゼ)的、非酵素的分解(pHの影響など)双方の面から調べた。ゲル中の水の構造は示査走査熱量計及びFT-IRを用いて解析した。 生体適合性評価 ヒト正常2倍体繊維芽細胞(WI38)やマクロファージに分化させた急性前骨髄性白血病細胞(HL60)をゲル上に播種し、所定時間培養後、乳酸脱水素酵素定量法や蛍光色素染色により細胞の生存率を求めた。 また、ゲルの分解生成物の毒性は、マウス繊維芽細胞(V79)を用い、分解生成物を含む溶液の添加による、コロニー形成阻害を調べることにより判断した。 以上の検討から、生体適合性及び生分解性に優れた新規なヒドロゲルが得られることが分かった。
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