『Mgフェライト粉末交流磁場加温による癌焼灼療法システム』の臨床応用を目指し、研究開発を進めた。具体的には、システムの試作に重点をおき、 ・人体を取り巻く形の空芯コイル ・局所かつ表面のみを対象とする平面コイル の2種類のコイルに対象を絞った。 空芯コイルについては検討を重ね、原理実験を行った結果、生体の断面形状に近い空芯形状(楕円形)のコイルの場合に効率良く、磁場を発生させ得ることが判明し、このコイル形状について、特許の出願を行った。さらにこの楕円形空芯コイルを試作し、その性能を検討した。その結果、小柄な女性を対象としたコイルでは5kWの高周波電源により、十分な強度の磁場を発生させることが可能であることが判明した。また、一方で、10kV程度の端子間電圧が生じることから、安全性に対する対策が重要であることが判明した。 平面コイルではスティック状に成型したフェライトを使用。低い電力(300-700W)で、表面付近に十分な加熱を施すことが可能であることが明らかとなった。深部の加熱が困難であることなど、この方法特有の技術的な特性もあり、臨床応用に対しては注意を要する。 なお、スティック状フェライトの開発も本年度、同時に行った。これはフェライト粉末とカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)水溶液を混合後、成型・乾燥したものである。CMC-Na水溶液には2価または3価金属イオンと結合し、ゲル化する性質があり、粉末の分散を防ぐことが可能である。
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