研究概要 |
顎口腔機能を総合的に評価するために,あらゆる顎位における下顎頭と関節窩の三次元的な位置関係など顎顔面骨格形態の時空間的な把握が可能であり,静的な不正咬合の分類だけではなく機能的な咬合状態を高精度に可視化し分析することができる手法の確立が望まれている、本研究では,Computed Tomographyから三次元再構築(以下,3D-CT)した頭蓋骨および下顎骨の画像に非接触型三次元計測装置を用いて撮影し得られた歯列模型の形態画像を統合した後,6自由度下顎運動データで駆動することで患者固有の下顎運動と三次元的な顎顔面骨格構造や上下歯列形態の対応を可視化できる四次元下顎運動表示システムを開発するとともに,これを実際に顎変形症患者に適用し,臨床における診断・治療を支援することを目指している. 今年度は,1)顎顔面骨格3D-CT像の構築手法の確立,2)非接触型三次元計測装置を用いた歯列模型像の構築手法の確立,3)6自由度下顎運動の計測方法の検討,4)各種データの統合処理手法の確立,5)下顎運動の可視化ソフトウェアのプロトタイプ開発を行った. 歯列データに関しては,セラミック真球を患者の口腔内に装着しCTを撮影後,さらに歯列石膏模型に戻し3D-LSで撮影後,得られたデータどうしを幾何学的に正確な位置に対応付けることができた。また,顎運動データに関しても,歯列模型に戻したセラミック真球の表面を接触型3次元計測装置で計測し,重心を求めて3D-LSで計測したデータのセラミック真球の重心と対応付けた.また,下顎頭外側面と関節窩までの距離を色表示する機能,咬合接触面積を表示する機能などを追加する事ができれば,顎運動解析システムとして,その臨床的な意義は大きい.今後,臨床応用上の課題を明確にし,実用化を目指して更に研究を進めていく予定である.
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