脳卒中後の片麻痺改善における皮質脊髄機能を解析する目的で、脳卒中患者にMRI拡散テンソル技法による皮質脊髄路の障害度の定量的評価を行い、片麻痺の程度と比較検討した。 当初の予定どおり当院で入院リハビリテーショシを施行した脳卒中慢性期患者に対してMRIによる3-dimensional axonal contrast (3-DAC)、fractional anisotropy (FA)、apparent diffusion coefficient (ADC)による皮質脊髄路の障害度を評価した。片麻痺の程度についてはBrunnstrom's stageによる評価を行い、MRIによる皮質脊髄路の障害度と比較検討を行った。慢性期脳卒中患者14例(脳内出血6例、脳梗塞8例)に計24回のMRIによる評価を施行した。 慢性脳卒中患者では皮質脊髄路のワーラー変性を大脳脚における3-DAC、FA、ADCにより信号変化として捕らえることが可能であった。統計学的な解析では、片麻庫と良好な相関関係を示したものはADC値であった。すなわち、大脳脚におけるADC値は片麻痺の重度な患者では有意に高値であり、経時的にMRI評価を行った10例の患者では片麻庫の改善に伴いADC値は低下した。 慢性における片麻痺の程度はADC値による評価が可能あることが示唆されたので、この評価がどこまで急性期に適応可能であるかを次の検討項目とした。 この目的のため、脳卒中急性期病院である広南病院で脳卒中急性期患者にMRIを施行し、ADCによる皮質脊髄路の定量度データーの収集を平成15年度12月より開始し、平成16年度は以上のデーターから急性期のMRI拡散テンソル技法から片麻痺回復を予測できる因子の解析を行う予定である。
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