1.外来にて通院でのリハビリテーションを行っている慢性期の脳卒中患者(主に片麻痺を有する患者)の合併症のうちで、転倒とこれに伴う骨折などの占める割合は非常に大きく、再入院の原因としても最も頻度が高くなっている。転倒は多くの要因が複雑に絡み合った結果と考えられる。通院リハビリテーションを行っている慢性期脳卒中片麻痺患者を対象として、種々の臨床評価を行い、易転倒群と転倒のない群との違いを多変量解析により分析を行っている。この結果、転倒の要因として、上肢の関節可動域、体幹筋力(腹筋)などとの相関が高いことが判明している。このことより、慢性期の脳卒中患者の転倒予測方法の一つとして、患者評価結果の多変量解析による分析が有用であることが示唆され、これらの結果をもとに、転倒防止のためのリハビリテーションプログラムを構築することも可能と考えており、更に追跡調査を行っている。 2.神経変性疾患、主にパーキンソン病・脊髄小脳変性症の患者を対象として、入院時と退院時で主に歩行とバランスの評価を多面的(三次元動作解析、床反力、歩行速度、表面筋電図、重心動揺計など)に行い、リハビリテーションの介入の有無による違いを検討している。外来での低頻度のリハビリテーションよりも入院して集中的にリハを行った方が効果の上がることが一部の患者では分かってきているが、症例数が少ないため、まだ学会などでの発表はできていない。今後症例が蓄積次第、発表する予定である。
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