【平成15年度:運転能力評価・訓練装置の開発・臨床試験】 本年度は、「1.基礎調査」、および「2.運転能力評価・訓練装置の開発および一般成人を対象とした実験研究」を計画、実施した。 1.情報収集および基礎調査を実施した。基礎調査としては、(1)作業療法分野における過去から現在に至るまでの研究を調査し、今後の方向性を検討した。その結果、高齢者・脳血管障害者と自動車、移送システムの関係性が重要であることがわかった。(2)脳血管障害者は中高年者に多く発生するため、高齢者の好む自動車像、介護される高齢者側の事情を調査した。その結果、加齢に伴い、ボディ四隅が見切りのよい形状の小型車を好む傾向があり、自動車の運転をやめるときには自己判断の拠り所としての「客観的指標」が必要であることがわかった。また、独居高齢者を移送する支援システムの整備が急務であることなどを明らかとした。 2.装置の製作を実施した。装置の概要は、パーソナルコンピュータ、モニタ、マイクロソフト社製サイドワインダー(パソコンゲーム用デバイス)を使用し、VisualC++を使用して専用ソフトウエアを製作した。このソフトウエアは、クライエントの反応時間、ハンドル操作の速度・正確性、ペダル操作の速度・正確性などを1/1000secでサンプリング、テキストファイルとしてデータ保存が可能である。ソフトウエアの特性としては、検査者が任意に課題を設定できるように臨床での活用に配慮し、汎用性をもたせてある。 この装置を使用し、協力の得られた30名の20〜75歳の健常者に対して測定を実施し、指標を作成した。また、運転能力の要素に焦点をあてた訓練効果の検証、併せて他の体力検査、上肢機能検査などを実施し、検査間の相関、世代間の違い、高齢者グループの個人差の理由に関して詳細にデータ分析を実施中である。さらに、評価装置の見直し・装置の修正を実施し、来年度の脳血管障害者に対する臨床試験に備えている。
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