持続的電気刺激を行う埋込み電極を独自に作製した。まず、正常ラット(8週齢オス、Wistar系)の背部に電池を埋込み、刺激電極を左側の腓骨頭付近に埋め込み、両者をつなぐ導線は皮下を通した。4匹の左側前脛骨筋を持続的に3週間にわたり電気刺激したところ、筋湿重量、単収縮張力、最大強縮張力に左右差を認めなかったが、左側の疲労指数は25.0±10.0%で、右側52.7±10.4%よりも有意に低下していた。電極を埋め込まなかった5匹ではいずれの測定項目でも左右差はなく、持続的電気刺激群の右側との間に有意さを認めなかった。 また、腓骨神経を解して単一運動単位を電気刺激し、その筋張力を測定する機器を作製した。正常ラットにおいて、刺激電極を埋め込まずに、単収縮時の収縮時間、疲労指数を測定した。疲労指数は、40Hzのパルス13個で1秒毎に3分間最大上刺激した後の張力の、最初の張力に対する割合とした。速筋の運動単位は、疲労指数によってfast fatigue-resistant(FR)、fast intermediate(FI)、fast fatiguable(FF)に分類した。つまり、疲労指数が0.75以上ならばFR、0.75未満0.25以上ならばFI、0.25未満ならばFFとした。上記測定後、運動単位の筋線維内グリコーゲンを枯渇させるために、あるプロトコールに従って電気刺激を繰り返した。その直後に、前脛骨筋を切離し、凍結標本を作製した。Pariodic Acid Schiff(PAS)染色により筋張力を測定した単一運動単位に属する筋線維を同定し、その連続切片標本のmATPase染色により筋線維タイプ分類した。その結果、6個の運動単位を得た。疲労指数によるタイプ分類ではFRが2個、FIが4個であった。FRの2個は、mATP染色によるタイプ分類では、IIaとIIcに、FIはすべてIIbであった。
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