研究概要 |
折りたたみ携帯電話サイズのパワーアシスト(筋電制御)型の電気刺激装置を試作した.脳卒中患者8名において,足関節背屈,手首関節背屈運動機能の改善を目的として,パワーアシスト型電気刺激装置による治療を行った.電極を足関節においては前脛骨筋,手関節においては橈側手根伸筋に配置し、被験者は15秒周期で5秒間の最大随意収縮による足もしくは手関節背屈を10分間行った。治療効果判定として,足関節については,最大随意背屈角度範囲(ROM),最大背屈トルクを測定した。手関節については,約1秒間隔で,最大掌背屈を10秒間繰り返し,その時の背屈角度範囲及び、橈側手根伸筋と尺側手根屈筋の筋電を記録し,後に背屈トルクの指標として筋電量(200msのRMS値)の最大値,および巧緻性の指標として最小値/最大値を算出した.結果として,上肢では、自動ROMに治療前後で有意な増大が認められたが,治療を行わなかった週と治療を行った週については,有意差は認められなかった.下肢においては,自動ROM,背屈トルク,いずれにおいても治療前後は有意な増加が認められたが,治療無しの週と治療した週の増加量には有意差は認められなかった.したがって,上肢下肢ともに,治療直後に即時的な効果は得られるが,今回の治療時間では,日を越えて効果は持続しないものと考えられた.しかし、1名の被験者においては,治療前には全く随意運動が認められなかったが,治療中および後には随意運動が観察され、最終週においては,治療前にも僅かな随意運動が観察され、症例によっては,効果が持続する可能性も示唆された. また,装置の更なる小型化を図るために,設定値を定めるための可変抵抗およびスイッチを排除し,PCから,USB経由で設定値を定めるよう設計の変更を行い,装置の動作確認を行った.
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