研究課題
本研究は介助者並びに被介助者の肉体的・心理的負担を低減する食事介助ロボットの開発を目的とする。だが従来の電磁モータで簡潔な操作のみならず、自然な形状、静粛性といった機能を実現するのは難しい。そこで本研究では上記機能を実現するため球面超音波モータを採用した。この介助ロボットを開発する上で得られた成果は以下の通りである。a)ステータの駆動試験導入した有限要素法解析ソフトによる結果に基づいて試作したステータを用いてモータを構築した。この結果、安定した摩擦接触を実現し、球面ロータを保持・回転させるに至った。応答性についてもLock to Lockで0.8秒と日常的な動作を満たすには十分である。しかしながらトルクの不足による動作の不安定化が散見されるため、更なる向上が望まれる。b)エンドエフェクタの構築食事介助を行う上で最も重要となるのは様々な形状の食器や食物を確実に、かつ安定して把持し、使用者の口腔へ移送することである。そこで人間の骨格構造を規範としたエンドエフェクタを構築した。この結果、スプーンやフォークといった特定の形状のみならず、パンなど不規則な形状をし、かつ柔和な弾力をもつ物体も容易に持ち上げ、口腔へ移相することが可能となった。c)全体構造の検討研究が求めるロボットは人間環境に置いて違和感・恐怖感なく存在できるものであることが重要である。そこで最も使用頻度の高い腕部について、人間の骨格構造を忠実に再現することで、自然な形状・動作の実現を試みた。その結果、右腕のみであるが形状は人に近く、またその動作も自然なものとなった。d)使用試験実際の試験の結果、フォークやパンなどは、あらかじめ決めた場所に設置すれば、プログラム的に把持することが可能であることが分かった。現在はPC上から操作しているため、実際の利用のためにはスイッチ等による簡潔な操作を実現することが望ましい。
すべて 2005
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Proc.Of International conference on manufacturing, machine design and tribology
ページ: DDI-1