スキージャンプ飛行における最適姿勢制御技術の開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15700404
• 研究機関: 山形大学
• 研究代表者: 瀬尾 和哉 山形大学, 教育学部, 助教授 (60292405)
• キーワード: スキージャンプ / テイクオフ / ランディング / 地面効果 / 空気力 / 最適化

研究概要

本研究の目的は、飛距離最大を達成するために、テイクオフからランディングまでの間にジャンパーがとるべき最適姿勢制御技術を開発することである。
今年度の研究実績は、以下の通りである。
1.定常の滑空状態と地面効果板を用いた着地局面の飛行状態に対応する風洞実験結果をまとめ、国際雑誌のSports Engineeringに投稿し、掲載が許可された(Aerodynamic force data for a V-style ski jumping flight)。論文中では、着地直前における地面効果を有効に活用した姿勢制御法、及び飛行中に起きるピッチング振動が静安定であり、危険は少ない事を明らかにした。
2.風洞実験結果を利用した最適化計算により、前傾角とV字開き角の時々刻々の最適制御法を明らかにした。ケーススタディーとして、追い風や向い風への最適な適応法を明らかにした結果を加え、国際雑誌(Optimal flight of a V-style ski jumping)に投稿し、掲載が許可された。国内雑誌(スキージャンプ-風の中での最適姿勢制御-)には解説が掲載された。
3.白馬ジャンプ台において、高速カメラ2台を用いて、全日本ジャンプチームのテイクオフ動作を撮影した。動作解析の結果、最近不調に陥っているF選手は、テイクオフ直後に体と水平線のなす角が以前より大きくなっていること、及びスキーの傾き(上半角)が以前に比べて大きくなっていること、を明らかにした。これら2つのパラメータが飛距離減少の原因であることを定量的に示した。これらの成果を3月中旬にBS1で放送予定のスポーツドキュメンタリー番組内で解説している。今後は、運動解析結果に基づき、テイクオフ時における最適姿勢制御法を模索していく。

研究成果

• [文献書誌] 瀬尾和哉, 村上正秀: "空力特性に基づいたスキージャンプ飛行の最適化"デサントスポーツ科学. vol.24. 31-37 (2003)
• [文献書誌] Kazuya Seo, et al.: "AERODYNAMIC CHARACTERISTICS ON A RUGBY FOOTBALL"XIX^<th> Congress of the International Society of Biomechanics. 2003(CD). (2003)
• [文献書誌] 瀬尾和哉, 小林修, 村上正秀: "長軸周りに回転及び無回転のラグビーボールに働く空気力"日本流体力学会年会2003講演論文集. 2003. 80-81 (2003)
• [文献書誌] Kazuya Seo, et al.: "Aerodynamic force data on a rugby football"Sports Dynamics Discovery and Application. 289-294 (2003)
• [文献書誌] 瀬尾和哉, 村上正秀: "スキージャンプ-風の中での最適姿勢制御-"日本風工学会誌. vol.97. 33-38 (2003)
• [文献書誌] 瀬尾和哉, 浅井武, 他2名: "回転及び無回転のサッカーボールに働く空気力"日本機械学会スポーツ工学シンポジウム講演論文集. 2003. 9-13 (2003)
• [文献書誌] 金達郎, 浅井武, 瀬尾和哉, 他: "飛翔中における野球ボールの回転数の変化"日本機械学会スポーツ工学シンポジウム講演論文集. 2003. 14-18 (2003)
• [文献書誌] 瀬尾和哉, 小林修, 浅井武: "サッカーボール表面のオイルフロー観察"可視化情報学会. (印刷中). (2003)
• [文献書誌] K.Seo, I.Watanabe, et al.: "Aerodynamic force data for a V-style ski jumping flight"Sports Engineering. (印刷中). (2003)
• [文献書誌] K.Seo, M.Murakami, et al.: "Optimal flight of a V-style ski jumping"Sports Engineering. (印刷中). (2003)