研究概要 |
平成15年度の研究計画は,筋損傷の保護効果と筋小胞体機能との因果関係を明らかにすることである.すなわち,2週間の間隔をあけて骨格筋委に伸張性筋収縮刺激を行い,2回目の刺激後の筋小胞体の機能低下が1回目よりも軽減されるか否かを観察する. 運動誘発性筋損傷はマウス前脛骨筋に電気刺激を与えると同時に強制的に足底屈させ引き起こした.筋小胞体の機能はCa2+-ATPase活性をCa2+イオノフォアを用いて測定した. 結果と考察 伸張性筋収縮刺激は著しい筋損傷を引き起こし,2回目の刺激後では損傷の軽減が観察された.1回目の刺激後,筋小胞体のCa2+-ATPaseは,損傷刺激による変化は見られなかったが,筋小胞体の膜の異常が観察された. 2回目の刺激後も同様に膜の異常が観察された.その程度は軽減される傾向にあったが,統計的に有意な差ではなかった. この結果から保護効果に,筋損傷の膜の変化は関与しない可能性が示唆される.しかしながら運動誘発性の筋損傷では薬理的に筋損傷を引き起こすほどの損傷を起こすことができず,損傷の程度が筋損傷の膜の変化を検出するほどの変化ではなかった可能性も捨て去ることはできない.今後はこの点を明らかにしていく必要がある.
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