研究概要 |
筋損傷を繰り返し経験すると、骨格筋は同一の刺激では損傷を起こさなくなる。この現象は保護効果と呼ばれているが、その生理学的メカニズムはわかっていない。本研究の目的は、筋損傷時の保護効果のメカニズムを明らかにすることであり、細胞内においてCa2+を制御している筋小胞体に着目して実験を行った。研究上の仮説は,筋損傷刺激によって細胞内にヒートショックプロテイン(HSP)が発現し,その後の損傷刺激に対して筋小胞体のCa2+-ATPaseタンパクの損傷を保護し,筋損傷を軽減するというものである.本研究は損傷の程度によってHSPの発現量に差が出るかどうか,またその発現量とCa2+-ATPase活性との関連性を検討した.ラットの前脛骨筋に伸張性の筋収縮を加え筋損傷を引き起こした.しかしながら損傷の程度およびCa2+-ATPase活性とHSPの発現量との間には,統計的に有意な相関関係は認められなかった.しかしながら運動誘発性の筋損傷では,損傷の程度に大きな差を生むことが出来なかった可能性があり,より詳細な検討が必要である.
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