研究概要 |
本研究のねらいは,野球のバッティングおよびゴルフのスウィングのように,両手と打具が閉ループを構成する動作を対象として,力・モーメント情報のデータベースを構築し,打率・飛距離等の技術レベルの違いが,力発揮特性のどのような点の違いによるものなのかを明らかにすることである.初年度にあたるH15年度では以下の事項を行った. (1).センサーバットのセンサーキャリブレーションにおいて,遠心力等で作用するバット長軸力を考構に入れたキャリブレーション方法を考案し,これによりスウィング中の左右各手の作用力・作用モーメントの測定精度を向上させた. (2).デジタルビデオカメラの画像出力信号を利用して5台の民生用カメラをハードウェア的に同期する装置を製作した.これにより民生品である各カメラの非同期誤差を大幅に低減し,民生用カメラへの三次元DLT法の適用を可能とした.そしてこのシステムを用いて,屋外グラウンドにおけるピッチングマシンを用いた投球打撃実験を実現した. (3).ティーバッティングを対象として,20名,計約200試技分のキネティクスおよびキネマティクスデータを取得した. (4).ゴルフクラブのシャフトグリップ部を改造し,複数枚のひずみゲージを貼付したセンサゴルフクラブを作製し,4名の学生ゴルフ部員でのスウィング実験を行い,クラブ作用力・作用モーメントならびに動作画像データを得た.そしてこれらのデータの分析から,被験者によって各手の作用力・モーメントの発揮様相が異なることを明らかにした.
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