加齢にともない筋細胞が委縮、脱落するために、筋力が著しく衰える。 この老化にともなう筋委縮に筋肥大抑制遺伝子(myostatin)が関与しているかどうかについて我々は研究を進めている。今年度は、下肢骨格筋内のmyostatinおよびその下流で働くと考えられるSmad3の量が加齢にともない変化するかどうかについて、Western blot法ならびに免疫組織化学法により調べた。実験には生後3ヶ月齢(young)、12ヶ月齢(adult)、24ヶ月齢(old)のC57Black/6J系雄マウスを用い、各マウスから腓腹筋および大腿四頭筋を摘出した。3ヶ月齢マウスの両筋でmyostatinおよびSmad3蛋白が確認できたが、Western blotでは加齢にともなう有意な変化が認められなかった。しかしながら大腿四頭筋を用いた免疫組織染色では、3ヶ月齢マウスの筋細胞にmyostatinの免疫活性がほとんど認められなかったのに対し、24ヶ月齢マウスでは膜付近にmyostatin活性を有する筋細胞が多く存在した。以上のことから加齢にともなう筋萎縮に、myostatinが何らかの関わりを持つ可能性がある。
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