本研究では、身体運動中のアキレス腱伸張率の算出法について検討した。研究代表者らがこれまでに発表した方法(Muramatsu et al. Journal of Applied Physiology 2001など)はいずれも、下腿部と足部を固定して力発揮を行う「等尺性収縮」を対象としたものであったため、関節角度が変化するような歩行や走行、ジャンプといった一般的な身体運動に適用できるかどうかは不明であった。平成15年度では、その方法を、より動的な運動に応用するよう検討した。研究代表者らはこれまでの報告で、アキレス腱伸張率を、超音波装置と高連度カメラを用いて測定してきたが、動的な運動においては、腱を観察するための超音波装置のプローブに揺れが生じてしまう。この揺れがアキレス腱の伸張算出に与える影響について実験、検射したところ、ジャンプ動作の場合、揺れの影響が無視できないほど大きいことが明らかとなった。すなわち、超音波画像上の腱の長さ変化のうち、プローブの揺れの影響に基づくものが無視できない程度に存在することが明らかとなった。この問題を解決するために、任意の瞬間のアキレス腱長を、超音波画像と高速度カメラを使用して求める、という方法を発案した。平成16年度では、その新しい方法について検討を重ねた。この方法の利点は、関節角度が変化する動作においてもアキレス腱の長さ変化すなわちアキレス腱伸張率を算出することが可能な点にある。しかしながら、従来の方法と同様、2次元での分析しか行うことができないため、カメラの光軸と垂直な平面以外での動きは捉えることが出来ない。ジャンプ動作を詳細に検証したところ、ねじれの動作が不可避的に生じ、このことが、アキレス腱伸張率の算出に大きな娯差を生じさせる可能性が示唆された。現在、この点に関する解決方法および、より正確に腱伸張率を算出する方法について、検射を行っている。
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