研究課題
本年度は、3軸半導体加速度計を使用した携帯型運動量連続測定装置(GMS社製)を購入し、主に実験室内で走運動、カヌー漕運動における運動量と酸素消費量の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。新たに半導体加速度計は競技スポーツの激運動にも対応し、低周波応答に優れた4Gセンサーを組み込んだ。被験者はオリンピック日本代表選手を含むトップアスリート(陸上競技長距離男子6名、カヌーカヤック男子4名、女子5名、カヌーカナディアン男子2名)である。漸増負荷運動中の酸素消費量と前後、左右、上下方向の3つの加速度を連続測定した。各負荷の前後、左右、上下方向の加速度成分から1分間当たりの力積の和(総力積、N/分)を算出し、酸素消費量との関係を全被験者のデータをプロットして解析した。走運動はトレッドミルを用い、180、220、260、300、340、360m/分の速度で各3分間6ステージ行った。その結果、回帰式は酸素消費量=-73.9+0.172・総力積、r=0.83の有意な相関関係が認められた。カヌー漕運動はローイングエルゴメータを用い、カヤックは男子が150、170、185、200、210、220m/分、女子は155、165、175、185、195、200m/分の速度で3分間6ステージ行った。回帰式は酸素消費量=9.1+0.263・総力積を示し、r=0.94の有意な相関関係が認められた。さらにカナディアンについても160、180、190、205、215、230m/分の速度で行い、回帰式は酸素消費量=14.1+0.194・総力積、r=0.86の有意な相関関係が認められた。これらの結果から今回使用した運動量連続測定装置から得られる総力積(運動量)によって簡便に運動中の酸素消費量を評価可能なことを明らかにした。
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