昨年度は3軸半導体加速度計を使用した携帯型運動量測定装置(GMS社製)を購入し、実験室内で走運動とカヌー漕運動における運動量と酸素消費量の関係を明らかにした。本年度は酸素消費量の測定に携帯式呼吸代謝モニター・メータマックスを用い、水泳運動、クロスカントリースキー・スケーティング運動の実際の競技に即したフィールドで運動量と酸素消費量の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 被験者はナショナルチーム強化指定選手を含むトップアスリート(水泳選手7名、クロスカントリースキー選手8名)である。漸増負荷運動中の酸素消費量と前後、左右、上下方向の3つの加速度を連続測定した。各ステージの3方向の加速度成分から1分間当たりの力積の和(総運動量、N・分)を算出し、酸素消費量との関係を全被験者のデータをプロットして解析した。 水泳運動は酸素消費量の測定が容易な背泳ぎを採用した。各ステージとも泳距離を200mに設定し、第1ステージの泳時間を3分50秒(速度52.2m/分)とし、その後ステージごとに10秒ずつ短縮して設定時間に追従できなくなるまで行った。その結果、総運動量と酸素消費量の間には正の相関が認められた(r=0.890)。クロスカントリースキー・スケーティング運動は夏季トレーニングに使用するローラースキーで測定を実施した。各ステージとも運動時間を3分間に設定し、第1ステージの距離を500m(速度166.7m/分)としてその後ステージごとに100mずつ増やして設定時間の3分間で滑走できなくなるまで行った。その結果、水泳運動と同様に総運動量と酸素消費量の間には正の相関が認められた(r=0.889)。 これらの結果から、運動量連続測定装置から得られる総運動量によって簡便に運動中の酸素消費量を評価可能なことを明らかにした。
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