研究概要 |
本研究では,旧産炭地域在住の高齢者を対象に"住民自身による健康づくり"を目指した事業を推進し,その効果を検討することを目的としている.今回は,様々な理由から行政施設等に出向きにくい辺地の住民を対象にした健康支援事業の推進を意図し,地区の公民館で出前方式で実施した.なお,昨年度の参加者に「健康づくりリーダー」として参加していただき,"住民自身による健康づくり"につなげていくよう配慮した. 平均年齢67.6±14.0歳の高齢者38名を対象に,パソコンを用いた反応速度テスト,転倒予防および身体活動量の増加を意図した運動指導,身体機能測定,形態測定,血液検査や食事調査による生活習慣病の保健指導・栄養指導,健康情報の提供等を11週間にわたって実施し,出前方式の健康支援事業が高齢者の身体機能,身体活動量等に及ぼす影響について検討を行った.健康支援事業により,対象者の身体活動量に増加傾向が認められた.また,平衡機能,下肢筋力および姿勢調整能力の改善が認められ,その結果として転倒予防につながる可能性が示された. 本教室は転倒予防,身体活動量の増加を前提として実施したが,同時に教室受講後,各地域での健康づくりの担い手として,健康づくりリーダーの養成を兼ねた.来年度以降は,より住民を主体とした健づくり事業へとつなげていく予定である. 以上の結果は,旧産炭地域における高齢者のヘルスプロモーション事業の支援に関する基礎資料として利用できるものと思われる.
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