研究概要 |
本研究では,要支援・要介護レベルの者のQOLおよび日常生活機能の向上を意図した総合型(身体機能面・栄養面・心理面など)介護度改善プログラムを実施し,その有効性について検討することを目的とした. 対象は,要支援または要介護1と認定された在宅高齢女性39名であり,その内27名を介入群(平均年齢80.0±7.4歳),12名をコントロール群(平均年齢83.2±3.9歳)とした.介入群を対象に,身体活動量の増加や自宅での運動継続を意図した運動指導を12週間に渡って実施した.また,日常生活(要介護認定79項目問診,身体活動量)・栄養・心理的健康(精神的健康パターン,QOL,認知機能)・生理的指標(血液検査,身体機能測定,反応速度テスト),インタビュー調査を行い,運動指導前後で検討した. その結果,要介護認定問診の「立ち上がり」と「聴力」の項目に改善が認められた.栄養調査・指導を行ったところ,対象者と同年代の本邦高齢者の摂取量と同等の値が得られ,その効果が認められた.精神的健康パターン診断では,「睡眠・起床障害」の項目に,また,QOLおよび認知機能の心理的健康の指標に改善が認められた.さらに,血液検査,身体機能測定,反応速度テストにおいても改善がみられた. 今後,本プログラムを標準化していくことで,各種専門家の連携や効果的な運用につながり,本邦の高齢社会に対する指針やヘルスプロモーション施策を立案する一助になるものと思われる.
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