「きょうだいの年齢差」(以下年齢差)、とりわけ第2子出生タイミングに着目してインタビューとWeb調査(2004年11月、マイボイスコム社)を実施した。調査対象は小学生の母親300人であった。年齢差は2年(39.1%)、3年(16.9%)、1年(16.1%)、4年(13.3%)、5年(7.2%)の順で、理想とする年齢差は2年(45.4%)、3年(35.3%)、4年(10.0%)、5年(4.0%)、1年(3.0%)の順で、約6割が理想通りの年齢差で第2子を産む一方、約4割は理想より1〜2年早く産んでいた。 理想年齢差の理由と何歳差を理想と考えているのかを一元配置分析したところ、きょうだいで遊べる(73.3%、2年)、上の子の自立(41.3%、3〜4年)、上の子と十分触れ合ってから(33.9%、3〜4年)が多かった。一方、理想年齢差で産まなかった理由は、自然のなりゆき(57.8%)、不妊(24.5%)、上の子の育児に精一杯(15.2%)、経済的理由、一からの育児をためらう(ともに11.3%)であった。先行研究では自然のなりゆきは、この少子化傾向の現代では意図せざる年齢差拡大要因かと推察されていたが、本調査結果から意外にも年齢差縮小要因である可能性が示された点は興味深い。年齢差と子ども数に逆相関がみられているものの(p<.006)、理想子ども数をまだ産んでいない人が4割以上みられた。すなわち理想年齢差より早く第2子を産んでいるにもかかわらず、希望する子ども数を産みにくい社会的要因の存在が示唆されている。 理想と現実の子ども数との差(以下ギャップ)と今後の出産に際しての考慮事項とをクロス分析したところ、経済的負担を指摘する人にギャップ1が多く(p<.016)、夫の育児協力を指摘する人にギャップ2が多かった(p<.038)。ゆえに社会的に経済的負担が軽減され、また家庭内で夫の協力が得やすい環境になれば、希望するだけの子どもを産みやすい環境に近づける可能性が示されたといえる。
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