研究概要 |
本研究の研究計画にあった3本の柱<1)調査研究,2)アンケートおよびパネル実験,3)食教育プログラムの実施>のうち,本年度は1),2)について研究を行った。日本食は,食材の入手との関わりから四季との関連が強く,また,食で健康を維持しようといった趣が強いのが特徴である。そして,農業技術及び食品の加工技術の向上と医療の充実した現在では,伝統的な日本食を中心とした調理が家庭から消えつつあり,手軽さを求めて外食産業や中食の占める部分が大きくなってきていると言われる。しかし,これに関しては未だ一定の基準を設けた十分なデータは示されていない。そこで,小学生とその親を対象として,彼らの食生活において日本食が締める割合と,彼らが持つ日本の伝統食に関する知識について調査研究を行った。 質問は,日本における四季の食材と行事食,もともと日本にはなかった輸入を主とする食材(野菜・果物・調味料)の利用頻度等について,日本の食文化における歴史資料の文献調査と,四季の食材に関する全国生産出荷量の地域別年次推移などの資料調査を綿密に行い設定した。 結果は,食の知識において親の知識が高いとその子どもの知識も高い傾向が見られたが(統計学的相関性あり),旬については全体として親に比べて子どもらの知識は有意に低いことが明らかになった。この知識において親と子の相関性があったことから,家庭での食の教育"刷り込み"の重要性が推察されたが,調査から親の食に関する知識度と実際の家庭内での調理の充実度には関連性は見られず,食の教育として実際に調理することに限らず,見聞,口頭だけでも効果があると考えられた。つまり,季節に合った伝統的な日本食を見たり,食べたりするだけでも,食の教育方法としては学習効果が高いことが今回の結果から推察可能となり,来年度から行う匂いや味の実体験から進める教育効果に期待が持たれる結果であった。
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