食品成分等の抗アレルギー作用の検定および作用機構の解明に利用することを目的として、マウス肥満細胞株を用いたケミカルメディエーター放出評価系の確立を行った。ケミカルメディエーターはロイコトリエンB_4を指標とした。実験には高いロイコトリエンB_4産生能を有するといわれているマウス肥満細胞株PB-3cを用いた。PB-3cにカルシウムイオノフォアで刺激を与え、細胞外に放出されたロイコトリエンB_4量をHPLCで測定した。その結果、ロイコトリエンB_4は全く検出されなかった。この結果より、マウス肥満細胞株にはロイコトリエンB_4の基質となるアラキドン酸がほとんど含まれていないためにロイコトリエンB_4がほとんどされなかったと考えられた。そこで、PB-3cに刺激を与えるときにアラキドン酸を共存させた。その結果、わずかであるがロイコトリエンB_4が産生されたことがわかった。これは上記の考察を指示する結果であるが、産生されたロイコトリエンB_4量が少なかったため、培養液にアラキドン酸を添加して培養したPB-3cを実験に用いた。その結果、以前の実験に用いていたラット腹腔内滲出肥満細胞の実験系より多くのロイコトリエンB_4が放出された。以上の結果から、PB-3cはケミカルメディエーター放出評価系に利用可能であることが明らかとなったが、今後、アラキドン酸の培養液への至適添加濃度と培養時間などの条件を明らかにする必要がある。また、ロイコトリエンB_4以外のHPLCピークが複数検出されたことからこれらのピークの同定を行う必要があると考えられた。
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