研究課題
食物アレルギー発症の第一段階である腸管からのアレルゲン透過を抑制することはアレルギー予防に効果的である。申請者は前年度までに、ペプチド系およびポリフェノール系の2タイプのアレルゲン腸管透過抑制成分を明らかにした。今年度はこれら両活性成分含むアレルゲン腸管透過抑制食品を作製することを目的とした。製造工程をデザインするにあたり、タンパク質含量が高く、かっポリフェノールの存在が期待できる食品として、油糧種子を選択した。アレルゲンとして卵白アルブミンを、腸管モデルとしてCaco-2細胞を用いてアレルゲン腸管透過抑制を測定した。脱脂油糧種子をスクリーニングした結果、脱脂黒ゴマに最も強い活性が認められた。酵素は、苦味を発生させることなく高度にタンパク質を水溶化させる粗トリプシンを選択した。以上の結果をふまえ、ヘキサンで脱脂したゴマをpH8〜8.5に調整しながらトリプシンで40℃3時間加水分解後、煮沸による失活を行い、遠心分離した上精を凍結乾燥することにより、アレルゲン腸管透過抑制食品であるトリプシン処理ゴマ抽出物(ETS)を製造するという一連の製造工程を確立した。ETSから逆相HPLCにより活性成分を単離した。NMRおよび質量分析の結果から活性成分はSer-Asn-Ala-Leu-Val-Ser-Pro-Asp-Trp-Ser-Met-Thr-Gly-Hisおよびsesaminol2'-O-β-glucopyranosyl(1→2)-O-β-glucopyranosideおよびsesaminol2'-O-β-glucopyranosyl(1→2)-O-[β-glucopyranosyl(1→6)]-β-glucopyranosideであった。
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Biosci.Biotechnol.Biochem. 68・2
ページ: 300-305