昨年に引き続き、マイタケ中の生理活性物質と思われる成分の分離を試みた。生のマイタケを熱風処理して粉末状にしたものを、10倍量のイオン交換水にて溶かした。半日室温にてスターラーによって撹拌を行った。その後遠心分離を行い、水に可溶な成分を抽出した。その水可溶性成分は凍結乾燥を行い、再び10倍量のイオン交換水で溶かした後に0.45μmのフィルターを通したものをゲル濾過した。カラムサイズは2.6×60cmを使用し、ゲル濾過担体は、Sephacyl S-200を使用した。溶媒はイオン交換水を用いた。ゲル濾過するサンプル量は1回で10mlを流せるようにサンプルインジェクターを改良して使用した。ゲル濾過の結果、溶出液70mlあたりから130mlあたりまでに大きなピークがあり(B1)、次に200mlから380mlあたりに大きなピーク(B2)、さらにその後小さなピークが見られた(B3)。これらの3つのピークから得られた溶出液をフラクションコレクターによって採取した。その後この溶出液を凍結乾燥した。凍結乾燥した溶出液は糖尿病マウスであるkkAyマウスに与える時に適宜イオン交換水に溶かした。投与方法は胃内にゾンデにて投与した。マイタケを水で抽出した液を投与した群(A群)はコントロール群に比べて糖負荷時の血糖値が低下傾向にあった。マイタケを水で抽出した液をゲル濾過して最初に出たピークを投与した群(B1群)はC群よりも糖負荷時の血糖値を低下させる傾向にあったが、A群よりは効果が薄かった。マイタケを水で抽出した液をゲル濾過して2番目に出たピークのものを投与した群(B2群)ではあまり血糖値の低下作用はなかった。なおこれらは昨年のストレプトゾトシン投与ラットと同様の結果になった。
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