サプリメントの市場規模は拡大の一途にあり、その利用は食生活状況のみでなく心的状況(価値観)から決定される。本研究は個人の価値観とサプリメント利用状況の関係を把握し、かつ、サプリメント利用者の摂取栄養量と利用サプリメントの関連を捉え、サプリメント利用に関わる教育プログラム構築を目的としている。15年度は、様々な属性の対象者にサプリメントの利用状況、食生活状況、食意識、価値観について調査・解析(クロス集計、探索的因子分析等)を行ない、サプリメント利用者の特徴の明確化を試みた。その結果、若年女性の約半数、若年男性の約2割がサプリメントを利用しており、必ずしも都市部での利用度が高いとはいえなかった。サプリメント利用の直接的要因は、体調不良と食生活の自己評価の低さであったが、その背景として家族との精神的つながりを強く意識していることが認められ、そのことは家族が購入したサプリメントの利用につながっていた。なかでも女子高校生では、家族との強い精神的つながりと自分自身に対する自信が精神的余裕となり、この余裕がファッション・映画等などの余暇関連情報への関心、得られた情報に連動した食生活の評価につながっていると推察された。一方、スポーツサプリメントは食生活状況・体調が良好である若年男性が家族以外の勧めによって利用し、その利用は約半数に達していた。また、サプリメント利用者から陰膳方式で収集した食事試料についての栄養成分量の実測(現在までの分析:60食分)では、総脂肪量、脂肪酸組成、各ステロール量に利用者と非利用者で顕著な差は認められず、食生活に対する不安感がサプリメントの利用を促すという意識は適正な自己評価とはいえないのかもしれないことが示された。この食事試料分析および最終的考察は16年度にかけて行う計画であり、現在、脂溶性・水溶性ビタミンについての分析を進めている。
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