研究概要 |
サプリメントの市場規模は拡大の一途にあり、その利用は食生活状況と価値観から決定される。本研究はサプリメントの利用と価値観、摂取栄養量との関係を把握し、サプリメント利用に関わる教育プログラム構築を目的としている。16年度はサプリメント利用者が実際に摂取している食事の特徴を明確化することを目的とし,サプリメント利用者,非利用者から陰膳方式で収集した食事試料の栄養成分量(脂溶性成分)を実測(摂取サプリメントを除く)し,食事記録の解析も行った。食事分析の結果,総脂肪酸摂取量(サプリメント利用者:33.5g/日,サプリメント非利用者:34.3g/日)に差は認められなかったが,飽和脂肪酸摂取量はサプリメント利用者で有意に低かった。SMP比,n-6/n-3比は,食事記録からの計算値ではサプリメント利用者の方が食事摂取基準推奨値に近かったが実測値に差が認められず,これはサプリメント利用者のPUFA摂取量(特にn-3系PUFA)が計算値よりも実測値で有意に低いためであった。また,ステロール類の摂取量にサプリメント利用者とサプリメント非利用者で差は認められなかった。しかし,コレステロールの実測値は計算値よりも低く,サプリメント利用群では計算値の64.4%,サプリメント非利用群では計算値の74.7%であった。さらに食事記録からの計算値ではカロテンの摂取量はサプリメント利用者が有意に多かった。また、サプリメント利用者は摂取食品数が多く,特に果物・海藻・野菜類,魚料理の摂取頻度が高かった。加えて、調理方法も多様でありそのため揚げ物の摂取回数も多かった。脂溶性成分は調理過程で溶出するために計算値と実測値に差が生じるが,サプリメント利用者の食生活は多様であり,このことが自らの食事内容を正しく評価できないことにつながりサプリメント利用に結びついているのではないかと考えられた。
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