研究概要 |
本研究の目的である「一地域(研究代表者が属する広島市とその近郊)の大学や研究機関に所属する各領域の専門家,文化施設の学芸員,中・高等学校の教員が学習支援者として連携して,中・高校生の知的好奇心に基づく継続的な探究を可能にする学習コミュニティを構築する」ために,本年度は以下を行なった。 (1)教員等によるコミュニティの維持・継続的なシステム利用 昨年度に引き続き,広島県物理教育研究推進会などの大学教員・中・高等学校教員等が,情報共有支援システムNetCommonsを継続して利用し,学習コミュニティを維持した。特に,世界物理年のイベントの一環として広島で開催された,「広島理科教育ウィーク」や「明日から使える理科教材ワークショップ」の準備に有効に活用し,連携を深めた。 (2)学習コミュニティの構築 広島市こども文化科学館,広島地域の高等学校の教員らの協力が得られることになり,小学生を対象とする理科・科学を継続的に探究するための学習コミュニティ用サイトを作成した。現在,広島地域のイベント情報,科学者らによるコラム,質問用掲示板,有効なデジタルコンテンツ集,学習支援者によるリンク集や書籍紹介,子どもたち自身による情報提供の場などを用意している(未公開)。 (3)システム改良 学習コミュニティを構築,維持する上で有効な機能として,学習者自身のための備忘録,学習支援者が学習者に自らの研究生活等を示すための日記機能を付加した。掲示板に投稿された記事をメールで送る機能も改良を加えた。また,広島地域のイベントを容易にかつ効果的に示す機能を開発中である。 (4)学習コミュニティにおける学習を促進する方策の検討 既に学習が進められている他の学習コミュニティを分析することを通して,地域連携型学習コミュニティにおいて,適切なモデレーションを行なうための条件,適したシステムの条件,学習評価方法を明らかにするために有効な示唆が得られた。
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