科学系博物館の効果的な利用を進めるために、博物館の教育と学校教育に関して双方の立場を理解し、結びつける働きをする科学学習支援者(リエゾン)の効果的な養成、教育効果の評価が課題になっている。 本年度は、国内外の科学系博物館等におけるリエゾンの導入状況、養成法、学校との連携状況について情報収集、担当者に対する聞き取り調査を行った。その結果、各科学系博物館において、「博物館の高度な利用者」と位置づけた学習グループの支援、展示やプログラムの作成を通じたインストラクターの資質養成など、本研究に関連する展示を活用した学習について新たな取り組みが試行されていることが確認された。博物館の活用の幅を広げる活動として注目される。 さらに本年は科学系博物館学芸員の業務である「資料の収集・保存、調査・研究、展示、教育」が科学的な学習(探究・発表)の過程を体現していることに着目し、展示制作の過程を体験するリエゾン養成プログラムを開発した。プログラムの教材には、国立科学博物館で進行中の建設・工事中の新館展示室の設計資料・画像を用いた。従来の博物館展示に関する研修に加え、博物館展示の制作過程、その基盤となる学芸員の研究について理解を深めることで、博物館に対する理解が格段に深まるとともに、リエゾンが体験しているプログラムの位置づけに対する認識も高まり、効果的なプログラムとなっていた。 養成中のリエゾンは、開発したプログラムを科学系博物館において科学学習支援を試行的に実施し、その教育効果をアンケート調査により評価した。
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