研究概要 |
平成15年度の研究では,回路実験教育支援システムの光学的認識のために必須な設備である実験回路の画像取り込み装置を準備し,これを用いた回路認識の研究を行った。 まず,回路実験者用コンピュータ及び指導者側のコンピュータから遠隔操作が可能なCCDカメラを用意して,実験者が作製した実験回路を画像として取り込むシステムを構築した。次に,CCDカメラより取得した回路画像をネットワークで結ばれた指導者用コンピュータに転送し,DSP(Digital Signal Processor)を用いて高速な画像処理を行うことによって,自動回路認識を可能にするための研究を行った。 回路認識を実現するためには,回路上の素子や配線などの部品における形状的な特徴を定量化しなければならない。そして,この特徴量を自動識別することによって回路部品を自動認識することができる。そこで,前述の装置より実験回路を画像として撮り込み,雑音除去やテクスチャー解析による特徴抽出,及び回路部品の自動認識といった画像処理に関する研究を行った。 雑音除去は,特徴量を高精度に抽出するために必須な処理である。しかし,本研究に対して従来の雑音除去フィルタを用いた場合,輪郭ぼけが生じることにより特徴量の精度が悪くなるという問題が生じた。そこで,輪郭ぼけを防いだ雑音除去を可能にする局所適応形フィルタ・アルゴリズムを考案した。そして,このフィルタを前処理として,テクスチャ解析による特徴抽出及び素子認識法を考案した。それにより,ブレッドボードに装着された抵抗やコンデンザ,IC等の回路素子を高精度に自動識別することが可能となる。 今後は,配線部分の識別精度の向上と,素子値の自動識別,回路シミュレータ(SPICE)との連携が課題である。前述のネットワークを応用したシステム上で,これが可能となれば,実験教育の場での実用性が増大する。
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