研究概要 |
対面講義では学生から質問が出ず,教師が学生に問いかけたとしても,学生からの反応がほとんどないことが多い.講義への理解を深めるためには,学生と教師間の対話が重要である.本研究では,講義時間内の質疑応答を活発にし,学生に講義への理解を深めさせることを目的とし,学生から教師へ意思表示ができる機能を備えた,Webベース講義支援システムを開発した.講義支援システムには,学生端末と教師端末上の教材を同期させて表示する機能や,教師がディジタルインクで教材に書き込める機能がある.さらに,学生から教師への意思表示機能として,キーボードから質問を入力する方法のほかに,マウス操作のみで質問できる機能や,他の学生が教師へ送った質問と同意見であることを教師に伝えることができる機能(以下,質問同意機能)がある.全ての質問は,匿名で教師と学生に送られる.実際の授業で本システムを利用すると共に,対面講義と本システムを利用した講義における質問数を調査した.さらに,学生にアンケートを実施し,質問することに対する考えを調査した.実験の結果,対面講義では,学生は教師に質問しなかったが,本システムを導入することにより,数名の学生が質問するようになった.本システムを利用して質問した理由として,「匿名である」と回答する学生が多かった.一方,質問しなかった理由としては,「分からないところが分からない」,「質問することに慣れていない」と回答する学生が多かった.また,質問同意機能は約半数の学生に利用され,有効であることがわかった.本システム全体の評価としては,「他の講義に導入してほしい」と回答する学生が多く,有用性が認められた.
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