研究概要 |
本研究の目的は,英作文学習を対象とし,アニメーションを用いて学習者のリフレクション活動を誘発する手法を確立する事である.特に,学習者が誤った英作文を行った際に,その誤りをアニメーションとして可視化する事により,学習者が自発的に自らの誤りを修正する事を支援する. この目的を達成するため,本年度は誤りの可視化手法の確立を中心に研究をおこなった.以下,本年度の成果を述べる. 1.英文可視化システムの構成法の検討とシステムの実現 昨年度は,英文の意味情報からアニメーション生成に必要な情報を生成する機能の実現をおこなった.本年度は,その機能を利用し,英文の意味内容を可視化するシステムを実現した.本システムは,物体の移動および可視化可能な属性の変更に関するイベントを対象とし,英文の表層的な意味情報を抽出し,アニメーション生成に必要な情報を補完し,アニメーションとしてインタフェース上に提示する. 2.可視化可能な誤りの類型化 本研究で支援する誤りは,「意図した事が表現できていない誤り」,つまり表現すべき意味内容と表現した英文の意味内容との差異が生じているという誤りである.本研究では,この「意図した事が表現できていない誤り」を,意図したこと(英文で表現すべきこと)を基準として,情報不足,情報過多および情報置換に大きく分類した. 3.誤りの可視化手法の確立 リフレクションの誘発を目的とした誤りの可視化をおこなうためには,2の「意図した事が表現できていない誤り」各々に対し,誤りの顕在性と自然さを考慮した可視化手法が必要である.本研究では,情報過多および情報置換の誤りに対しては,学習者が入力した英文をそのまま可視化して提示する.情報不足の誤りに対しては,動作方向を逆にするなど,誤りが顕在化するような情報を使用する.
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