本年度は、実験用マルチメディア教材の制作と、研究に関わる学習者要因であるコンピュータ学習動機の測定・分析を行ない、その結果に基づいてコンピュータ学習動機尺度を作成・検討した。教材制作の段階は、(1)開発に関わる諸条件の整理:1ヶ月(2003年7月)、(2)開発の基本方針の検討および教材テーマの設定:1ヶ月(7〜8月)、(3)関連資料の収集と編集:2ヶ月(8〜9月)、(4)構成の検討:1ヶ月(9月)、(5)教材の制作:5ヶ月(8〜12月)、(6)形成的評価と仕様の改善:2ヶ月(1〜2月)であった。 ここでは、マルチメディアの特長を活かすべく、行列の2水準から成るマトリックス構造にてスタックを構成し、それを垂直に組み合わせる教材制作の手法を採用した。そうすることにより、学習者の自由な発想を活かしつつも、教材情報の相互関連性が理解しやすい教材の制作を試みた。 なお、教材の開発環境について、ハードウェアには、Windows OSコンピュータを用いた。開発に用いたソフトウェアは、5種類に大別される。それぞれ、OS(Microsoft Windows XP)、ワープロ・ソフト(Microsoft Word XP)、画像編集ソフト(Adobe Photoshop7.0)、Webページ作成ソフト(Microsoft FrontPage XP)、プログラミング・ソフト(Microsoft Visual C++)であった。制作した実験用教材は、実験用に320枚のCD-ROMに複製した。 また、マルチメディア学習動機は、自由記述によって広く収集し、回答をKJ法により整理・分析し、対象を変えて追試の後、因子分析により構造化するというボトムアップ的手法を採用した。結果、KJ法による分類により16のコンピュータ学習動機項目が抽出され、因子分析により「訓練志向」、「報酬志向」、「実用志向」、「承認志向」の4つの因子が示された。
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