本研究の目的は、展示物の観察を主眼とする学習支援のためのデジタルコンテンツの開発である。そのために、(1)教師が展示学習をすすめる上で必要なバックグランド情報を開発整備すること、ならびに(2)教室のプロジェクタに表現されるバーチャル展示物(観察学習対象物)を作製すること、を目指す。今年度の具体的な研究内容は次の通りである。 1.「アンモナイトの壁」展示を素材とした研究 a)展示物の疑問・気づきの調査 当館展示の「アンモナイトの壁」を素材として、展示利用者の展示物に対する疑問・気づきを調査収集した。展示室での来館者調査および講座等を利用し、観察者の展示物への気づきを繰り返し収集したことにより、観察者の気づきは大方網羅された。また、学校団体の博物館利用対応の際に学習支援するべく、本展示の学習ワークシートを試作した。 b)展示物のバーチャルリアリティ化作業 教室のプロジェクタを用いた「アンモナイトの壁」表現法(バーチャルリアリティ)を検討し、HTMLファイルによる表現手法とパノラマ写真(QTVR)による表現手法を試みた。平面的な展示物である「アンモナイトの壁」展示についてはいずれの手法も適することがわかった。 c)学習コンテンツ作成手順のモデル化作業 学習コンテンツ(パッケージ)の作成手順モデルの確立に必要となるポイントを見極めため、展示利用者の疑問・気づきを基にした"疑問・気づきマップ"を試作した。今後は展示物のバーチャルリアリティ素材の組み合わせによる学習コンテンツの開発に結びつけていく。
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