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2003 年度 実績報告書

植物珪酸体分析による完新世の雪田植生の詳細な動態復元

研究課題

研究課題/領域番号 15700541
研究機関千葉大学

研究代表者

苅谷 愛彦  千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (70323433)

キーワード植物珪酸体 / 完新世 / 多雪山地 / 古植生 / タフォノミー / 環境変動
研究概要

山形県鳥海山の亜高山帯(標高1600m)において現地調査(測量,植生および土壌調査)を行った.そして雪田植物群落の主要構成種,および表層土壌試料の植物珪酸体処理を行った.
現生植物は乾式灰化法で処理され,葉身から植物珪酸体が取り出された.この結果,ほとんど全ての種から複数の珪酸体が抽出され,それらの中には他の種には見られない特徴的な形態を有するものがあることが顕微鏡観察により判明した.とくに,チシマザサやショウジョウスゲがこれにあたる.これらは,土壌から抽出された植物珪酸体による古植生復元の際に有効になると考えられる.一方,どの種にも共通する形態の植物珪酸体も確認された.これらは古植生復元上の意義は高くないと現時点では判断される.
土壌試料は湿式・乾式灰化法で処理し、相当量の植物珪酸体を抽出できた.これらの試料は複数の植物群落をまたぐ測線に沿って,斜面長において一定間隔で地表から採取した.つまり,様々な景観地点から土壌表層試料を得たことになるが,大部分の試料では検出された植物珪酸体と現在の植物分布がよく対応することがわかった.従来,植物珪酸体は現地性が高いとされてきたが,この実験でこの指摘の正しさがある程度実証された.また一部の地点では約1035年前の火山灰直下の土壌を採取し,植物珪酸体の抽出につとめた.この結果からは,当時の植物群落の位置は現在と大きく変わらなかったと推定された.当時は気温が現在より若干高かったとされているが、これに呼応した植生変化は鳥海山では起こらなかった可能性がある.
以上の調査で得られた植物珪酸体の顕微鏡写真等は全て数値画像処理したが,当初予定していた系統的なデータベース化に至らなかった.また既往研究の批判論評も十分できなかった.いずれも次年度以降の課題となった.
この他に,三国山地で継続してきた植物珪酸体分析の研究成果を査読付学会誌に論文発表した.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kariya, Y., Sugiyama, S., Sasaki, A.: "Changes in opal phytolith concentrations of Bambusoideae morphotypes in Holocene peat soils from the pseudo-alpine zone on Mount Tairappyo, central Japan"The Quternary Research (Daiyonki-Kenkyu). 43/2(in press). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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