研究概要 |
本年度は,モデルのチューニングパラメータを取得するため,氷河の流動を計測する目的でネパールヒマラヤおよびパタゴニアの氷河のGPS観測を行い,その取得データの解析を行った.その結果,氷河流動に対する氷河底面の水の寄与があることが確認され,パタゴニアと同様に温暖多雪環境下にあった日本アルプスの氷河流動モデルの構築に際しても,同様の現象に十分配慮する必要性があることが確認された(澤柿ほか,2004;青木ほか,2005).この成果については,日本地理学会で発表すると共に,2005年4月に南米チリで開催されるInternational Symposium New Approaches to Quaternary Sciences in Fuego-Patagonにおいて発表する予定である 一方,日本アルプスの氷河地形のデジタルデータについては,GIS上のデータベースとして整備したものがSawagaki et al.(2004)として公表された.これは,国際的な氷河データベースプロジェクトとリンクするとともに,本研究課題のデータベースとして使用するモノである. さらに,日本の古気候について,気象庁から公開されている気候値メッシュデータを用いて解析を進めている.GISデータベースについても,空中写真からより詳細な地形データを取得する環境を整備しつつあり,解析用の基礎データを今後,集中的に取得する予定である. 次年度には,地形,流動,気候の各データを結びつけてモデルを構築し,日本列島の股間教復元を行う予定である.
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