研究概要 |
この研究では,道路網における地理的行動モデルを実装したエリアマーケティングGISの開発提案を目指してきた。エリアマーケティングを目的として,消費者の購買行動を考える場合,最もよく利用されるモデルにハフのモデルがあり,昨年度からこれを現実の都市道路網空間に拡張することを試みてきた。その試みの中で,いくつかの問題点も浮かび上がり,それを克服することを含めて検討を進めてきた。 本研究で検討してきたことは,実際にSANET(Spatial Analysis on a NETwork)と呼ばれる統合分析ツールの一ツールとして組み込んで一般に公開してきており,その利用者も増加しつつある。SANETそのものは,点分布パターンの数理的分析手法などを実装したツールの集合体であり,GISソフトウェアArcView8のプラグインシステムとして開発されたものである。国土地理院の提供する数値地図2500をベースマップに使ったテストも行っており,そうしたテストでも都市道路網におけるエリア分析や需要分析を行いかつ図示することに成功している。 2年間の研究によって,一般の研究者が利用できるエリアマーケティングGISツールを提供することができた。しかしながら,まだ改善する余地が多々あることに加え,こうしたツールの存在を一般社会に知らしめる作業が残っている。研究期間終了後も,こうした点を踏まえた研究活動を続けていく所存である。
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