本研究の目的は、わが国で1991年に実施されたオレンジ生果の輸入自由化が日本・アメリカ双方の農産地にどのような影響を及ぼしたのかについて明らかにすることである。 本年度は、主にわが国におけるアメリカ産オレンジの受容変化について調査を行ったが、年度末には来年度のアメリカ・カリフォルニア州のオレンジファームでの現地調査を行う事前準備として、カリフォルニア州の統計局と大学図書館において基礎的統計と文献の収集を行った。主な研究成果は以下のとおりである。 1.わが国の貿易統計のサーベイを通じて明らかになったこと (1)自由化後のオレンジ輸入量は、1994年までは伸びたもののその後は大きく減少していること。 (2)オレンジの輸入相手国は、従来のアメリカに加えて、オーストラリア・南アフリカ共和国など南半球の国々が目立つようになったこと。 (3)オレンジの輸入時期が年間を通じて偏りが小さくなったこと。 2.輸入業者へのヒアリングを通じて (1)オレンジの輸入量の減少は、自由化後の過度の流通による消費者離れと、他の柑橘等への需要のシフトによるところが大きいこと。 (2)南半球産のオレンジは、アメリカ産の端境期に当たる秋期に集中していること。 3.アメリカでの資料収集を通じて (1)アメリカのオレンジ生産は、主力品種をバレンシアからネーブルにシフトしながら減少していること。 (2)日本への輸出は減少しているものの、近年は韓国・中国への輸出が伸びており、輸出量全体には変化が小さいこと。
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