政府の推計によると、日本の人口は2006年にピークに達し、以後長期の人口減少局面に入るとされる。さらに都道府県別の推計結果によると、依然として続く大都市への人口流入傾向に今後変化が見られない場合、東京などの大都市圏の人口は比較的維持される一方、地方の県においては全国人口の減少ペースを上回る大幅な人口減少が見込まれる県もあるとされる。このような状況下において地方圏の人口維持の鍵を握るのは、地方圏出身者の帰還移動が今後どの程度みられるかという点であろう。研究代表者は、1995〜98年度にかけて長野県および宮崎県出身者を対象に居住経歴等に関する調査を行い、第1次ベビーブーム世代と、その10年上の世代および10年下の世代を対象にUターン率の変化を調べ、若い世代ほどUターン率が高くなっている状況を確認した。また、回答者属性とのクロス集計などから、Uターンしやすい人とそうでない人の違いやUターンの発生メカニズムに関する知見を得た。 そこで本研究では、前回調査から5年以上経過したことをふまえて、その後Uターンする年齢に達したさらに若い世代のUターン率を知ること、前回調査で対象としなかった女子の移動実態を把握すること、大都市圏への他出傾向や出身地への帰還傾向の強い人たちの属性についてさらに詳細な分析を行うこと等を目的として、山形県庄内地域の出身者を対象とした調査を実施することとした。 研究初年度である平成15年度においては、庄内地域の市役所等の担当者から若者の進学や就職、およびそれに伴う地域移動の実態についてヒアリング調査を行った。そして年度後半においては調査票の作成、配布および回収を行った。本年度の調査においては配布、回収の件数は限定されていたが、今後調査票の修正等を適宜行った上で、平成16年度においてはさらに本格的な調査を実施する予定である。
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