研究課題
第一に、大気エアロゾル試料中に含まれるカルボン酸をキャピラリー電気泳動装置(CE)により定量する手法について検討を行った。札幌で採取されたエアロゾル試料を用いて定量性を評価した結果、いくつかの主要なカルボン酸が、近い移動度を持つ成分の影響により、正確に定量されていない可能性が示された。そこで、有機酸が移動相内で部分的に解離し、有効移動度がpHに依存する性質に注目し、目的化合物に応じて異なるpHに調製した移動相を用いてCE測定を試みた。その結果、ピークの重なりの問題を軽減できる事が確かめられ、エアロゾル試料の成分分析に対するCEの実用性が確かめられた。最適化された手法によりACE-Asia観測期間中に得られたエアロゾル試料の分析を行い、主要なカルボン酸の大気中濃度の定量が行われた。第二に、Micro-Orifice Uniform Deposit Impactorにより採取されるカルボン酸の粒径分布をもとに、粒子の光学特性に対する寄与を推定する手法の開発を行った。MOUDIの捕集効率は、Winklmayerら(1990)により提案されている関数形を用いて近似し、各ステージの濃度値から連続的な粒径分布を算出する手段としては、TwomeyアルゴリズムとSTWOM法を採用した。そして、Mie理論に基づき各粒径の消散の効率因子を算出することで、エアロゾル粒子の消散係数の計算を行うFortranプログラムを作成した。CEの分析法および光学特性の計算法を確立したことから、今後、有機酸の放射特性に対する寄与を評価できる状況が整った。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Journal of Geophysical Research 109
ページ: doi:10.1029/2004JD004565
ページ: doi:10.1029/2004JD004598
ページ: doi:10.1029/2004JD004962