黒色炭素エアロゾル(Black Carbon : BC)は、石油や石炭等の燃焼過程において直接放出される1次エアロゾルであり、凝集や化学反応により生成する2次エアロゾルの核として重要な役割を果たす。さらに、BCは二酸化炭素(CO_2)等と同様に地球大気の放射収支に対して正の効果(温室効果)を及ぼすと考えられている。本研究では、BCとそのトレーサーとして有用な一酸化炭素(CO)の高精度かつ高時間分解能の同時測定を行うことにより、大気中におけるBCの消失過程を定量的に評価することを目的とした。本年度に実施した項目について以下に記す。 (1)信頼性の高いBC測定方法を確立するために、光吸収法と加熱分離法によるBC測定装置の相互比較を実施した。都市大気中の典型的な条件下では両者は良く相関していたが、30%程度の系統的な差異が見られた。その原因解明のため、エアロゾル化学成分の内部混合状態が光吸収測定に及ぼす影響について、現在詳しい解析を行っている。 (2)大気導入口にPM1.0またはPM2.5のサイクロンを設置して比較観測を行い、都市大気中のBCのほとんどが粒径1ミクロン以下にあることを見出した。また、配管内の粒子損失が小さいことを確かめた。 (3)赤外吸収法によるCO測定装置に拡散ドライヤーを設置して、水蒸気の干渉を大幅に低減させることに成功した。 (4)都市大気中でBGとCOの同時測定を行い、BC/CO放出比を導出した。また、過去に様々な領域で実施した航空機観測のデータを詳細に再解析して比較を行い、発生源の違いによるBC/CO放出比の違いや、他の気体成分放出比との関係について調べた。
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