研究課題
現在から400年前まで及び700年前から10000年前までの古環境を記録している二つの石垣島サンゴ群体試料について、骨格の炭素・酸素安定同位体組成の分析を部分的に行った。現在から8年前までについては定点採取を継続してきた海水試料を所有しているため、海水の同位体組成と塩分を分析し、骨格の酸素同位体組成との比較を行い、塩分復元を行った。サンゴ骨格から抽出した塩分は、ほぼ観測塩分と同じ挙動を示すため、形成時期の水温がわかれば、サンゴ骨格が塩分復元に用いることができることを確認した。その後、現在から50年前までのサンゴ年輪の酸素同位体組成と、気象庁が継続観測している水温記録を用いて、過去50年間の塩分変動を復元した。この結果を、2000年までに採取されたパラオ諸島のサンゴ年輪から復元された塩分変動や、これまで研究が行われた同様の研究例を組み合わせることによって、西太平洋域の塩分変動の復元を行った。また、7年間の海水の水素及び酸素同位体組成の経時変化と気象データから、石垣島周辺海域の水収支を計算し、蒸発量変動を求めた。サンゴ骨格の炭素同位体組成が形成時のサンゴ体組織の炭素同位体組成とよく一致していることを確認し、体組織の炭素の回転速度から、過去30日間平均の光量変動を示していることがあきらかになった。与那国島の現生サンゴについて、酸素同位体組成及び放射性炭素濃度分析を実施し、過去50年間の水温及び海洋放射性炭素濃度の復元を行った。琉球諸島の北部に位置するトカラ列島の宝島において、塊状造礁性サンゴ群体の生息分布調査を行い、予察的試料を採取した。
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