滋賀県近江八幡市伊崎国有林で認められている、カワウ大発生に伴う森林衰退について、その規模を推定するため、さらにはカワウ営巣の養分循環への影響を査定するために、本年度は基礎調査として、GIS上でのデータ整理を念頭に調査を行った。特に、GPSを用いて、伊崎半島をくまなく巡り、現在のカワウ営巣状況、並びに森林の衰退状況のモニタリングについては重点を置いて行った。過去の研究で、伊崎半島の数カ所での非常に強度の森林衰退が報告されているものの、現在までその情報を統合することが困難であったため、今研究において、GIS上に過去の研究情報をまとめることを目標として、現地測量を行っている。また、過去の研究で得られている、5年前程の被害状況の位置情報をあわせ、本年度新しく調査プロットを数カ所設置した。これらのプロットでは、今後養分循環(特にリターの分解と窒素供給について)、並びに昆虫、土壌動物などの食物網についての調査を行う予定である。本年度もう一つ行う予定であった衛星画像の解析については、高解像度衛星画像が研究地について撮影されなかったため、本年度は以前に購入した画像を用いた解析を進めており、その結果を元に、新しいプロットの設置場所を決定した。また、同位体比測定については、代表者が研究機関を移動したことにより、本年度あまりすすまなかったが、来年度は測定環境が整うために、本年度採取したサンプルについての同位体測定を実施する予定である。
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