研究概要 |
大気中に存在するメタンガスは二酸化炭素に次ぐ温室効果気体であり、その濃度変化は地球の気候変動に大きな影響を与える。通常、湿地のような湿潤な土壌はメタンガスの放出源となっているが、研究代表者が過去に西シベリアの湿地で観測を行った際に、ゼニゴケで覆われている土壌においてだけは、大気中のメタンが土壌に吸収されるという特質を発見した。ゼニゴケは日本にも広く分布しており、そのメタン消去能が確認されれば、今後の大気中メタンの増加に対する対策手段の一つとして期待することができる。 今年度は、昨年度に引き続き、野外の数地点におけるメタンフラックスの測定を実施した。その結果、ゼニゴケ被覆面におけるメタンの吸収フラックスは土壌水分の影響を強く受け、非常に湿潤な場合にのみ、メタンを吸収し、乾燥するとメタンを吸収も放出もしなくなるという結果が得られた。メタンの吸収フラックスは非常に微小であるため、今年度は測定方法の改良にも取り組んだ。 今年度は、本研究のきっかけとなった西シベリアでの観測結果をまとめた論文が国際学術雑誌Tellus, Ser.Bに掲載され、またチャンバー法の方法論に関する学会発表を行った。
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