研究概要 |
本年度は、氷河上の生物活動を定量するための衛星画像の解析方法を確立するため,試験的にいくつかの衛星画像の解析を行った.生物などの雪氷中の不純物は、可視域の光の反射率にもっとも影響を与えることがわかっているので、可視域のバンドがあり空間分解能も比較的高いLandsat ETMを購入し利用した。購入地域は,申請者が現在までに、雪氷生物バイオマス、表面スペクトルアルベドなどの現場のデータを集めてきた,ネパール、カナダ北極圏、アラスカ・パタゴニア、ロシアアルタイ、中国祁連山などの氷河を対象とした.衛星画像の分析には、研究所の現有備品のワークステーションのメモリを増設し,研究所に現有していたGISアプリケーションをもちいておこなった。衛星画像の分析の結果,可視域の波長のバンド間比とくにLandsatのBand2と5の比が,雪氷中の不純物の観測データとよく一致し,不純物または生物活動の指標として使えることがわかった.ただし,Band比からは相対的な不純物量の分布を議論することは問題ないが,絶対的な不純物量を出すことは難しいことがわかった.また,氷河表面は輝度が高く,露出オーバーしていて分析が不可能になっている画像が多くあり,分析可能な衛星画像は限られていることがわかった.今後,Landsat以外の衛星画像も購入し,分析をおこなう予定である.
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