研究概要 |
住宅に対する住宅選好調査の準備として,既設の建築物を模した試験体を設置し,高反射高放射塗料の塗布による省エネ効果を継続的に計測した.その省エネ効果の計測値,太陽電池等のその他の省エネ技術の文献値に基づいて,「住宅用標準問題」をベースとしたエコハウスによる環境負荷低減効果のシミュレーションをおこなった.太陽光発電パネルの効果が最も大きく,4.5kWのパネルを搭載した場合で1年間に643[kg-C]のCO2が削減できることが明らかになった.この結果を踏まえて,アンケート調査により省エネ型住宅(エコハウス)に対する消費者の選好を調査した.調査結果である住宅に対する消費の選好をコンジョイント分析によって明らかにし,エコハウス普及施策の検討を行った.アンケートでは住宅に対するオプションの種類として、耐震設計,バリアフリー,シックハウス対策,エコハウスを設定した.また,エコハウスに関しては水準として,省エネ,ソーラー,フル装備という3種類の住宅を用いた.コンジョイント分析の結果,消費者の支払い意思額の大きいオプションとして耐震設計(35.2万円/坪),ソーラー型エコハウス(10.3万円/坪)などが得られた.次にエコハウスへの選好誘導施策としてエコハウス購入への補助金の効果を検討した.補助金を支給することでエコハウスのシェアを増加させ,CO2を削減することができることがわかった。しかしその削減単価は5[万円/t-C]と非常に高価であり,必ずしも効率的な方法とはいえない。補助金以外の施策の例として,広報により消費者の環境意識を高めた場合の効果をシミュレートしたところ,その効果は最大で約3200[t-C/year]となることが明らかになり,消費者の選好を誘導するための施策としての環境教育,広報活動の重要性が確認された.
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