昨年度はタイに対してデンマークを中心に行ってきたクリーナープロダクション促進へのODAの成果を中心に検討を行ってきた。本年度は、中国に対してカナダと国連工業発展機関(UNIDO)が中心となって行ってきたクリーナープロダクション促進へのODAの成果と課題を、5月の現地での聞き取り調査とその後の文献収集を通じて、検討を進めてきた。 現在この検討の結果を、マレーシアでのクリーナープロダクション促進へのODAの成果の検討結果と合わせて、論文「クリーナープロダクション促進への国際援助の有効性と課題-中国・タイ・マレーシアへの国際援助を素材に-」としてまとめ、地球環境関西フォーラムのアジアの経済成長と環境・エネルギー部会で報告を行った。そこで得られたコメントを再検討して、雑誌への投稿準備を進めた。この論文では、まず経済的観点から企業が自主的に導入するはずのクリーナープロダクションが実際にはなぜ進まなかったかを理論的に検討し、その障害を克服するための政策や支援としてどのようなものが挙げられるかを検討した。そしてそれらの政策や支援がODAとして中国・タイ・マレーシアの3ヶ国に対してどのように供与され、実施されてきたのか、そしてなぜ部分的にしかうまくいかなかったのかを明らかにした。そして、中国が他の2ヶ国と比較して、なぜ比較的クリーナープロダクション促進がうまく行き始めているかを明らかにした。
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