研究概要 |
水産養殖環境水中のウイルスモニタリングを行うために,検査対象の拡大を試みることとし,糞便、下水・海水・淡水等の環境水および土壌の他,エビ幼生,プランクトン,植物およびバクテリアからの核酸抽出条件を検討した.サンプリングは静岡県の他,東京都および神奈川県の河川,沿岸部でも行い,環境水および土壌からの検出では,これまでに確立してしいるウイルス核酸抽出精製法の有用性が確認された.エビ幼生,プランクトンおよびバクテリアに陽性対照を混和したコントロール検体からもウイルス核酸の抽出が可能であったことから,これらも検査対象とすることとした.平成16年3月より養殖が開始されるエビ養殖池(ベトナム)においてこれらのサンプリングを開始できるよう現地において研修・指導し,経時的なサンプリングを行っている.植物については,植物細胞からの核酸抽出キットを用いてDNAおよびRNAの回収を試みたが,現在までにウイルス核酸の回収はできていない.試薬・方法を改良するなどして,引き続き検討している. HAV, WSSVおよびMBV検出を目的としたPCR法で用いるプライマーペアを対象として,1st PCRでも数コピーのウイルスDNAおよび数十コピーのウイルスRNAが検出できるPCR条件を確立した.これらについては競合DNAまたは競合RNAを作成し,競合PCRおよび競合RT-PCR条件を確立した.NVについては,ポリメラーゼ領域をターゲットとしたプライマーペアについて検討を行い,競合RT-PCR条件を確立したが,現在のNV検査はキャプシド領域をターゲットとしていることから,キャプシド領域のプライマーペアについて定性検出からあらためて検討することとし,今後競合RT-PCR条件の確立を目指す.
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