研究概要 |
ベトナム中部で平成16年3月より開始した集約型ウシエビ養殖1ターン(約3.5ヶ月)において、養殖されているウシエビ、ウシエビ養殖時に用いる海水、淡水および土壌、近隣の河川水のサンプリングを定期的に行い、収穫後(7〜8月)に訪越してサンプル処理後に持ち帰る予定としていた.しかし、養殖開始46〜56日目を境に全ての養殖池でウシエビが壊滅したため、昨年度の指導に従って現地でDNA調製してもらい、また、周辺養殖場および親エビ購入地域付近の養殖ウシエビについても同様に処理してもらい、国内に持ち帰ってもらった。対象としているエビ感染性ウイルス(WSSV, MBV, HPV, YHV)は検出されず、河川水および養殖エビ背腸からヒト腸管感染性ウイルスが検出されただけであった。病死したエビの内臓をパラフィン包埋し、切片作成後HE染色によって検鏡したところ、肝膵に病変が認められたことから、エビ肝膵に感染するバナメイエビ感染ウイルスとして著名なTSVおよびIHHNVも検査対象とすることとし、プライマー作成、RT-PCRあるいはPCR検出条件の検討を行った。ベトナム北部・中部および南部いずれの地域で生産されたウシエビからもIHHNV遺伝子が検出され、シークエンスによってその存在が確認された。また、養殖ウシエビのみならず、ベトナム近海に生育する天然ウシエビにも感染が広がっていることを確認した。平成16年10月より17年2月にかけて同様に養殖環境中からサンプリングを行い、養殖池のIHHNV汚染が経時的に減少傾向にあることを確認した。その間のPCR検査において、偽陽性を示す頻度の高かったMBVおよびHPVプライマーについて、再度プライマー作成、PCR検出条件の検討を行った。現在、ベトナム水産養殖試験場(No.2およびNo.3)において、ベトナム国内のPCR検出条件とIHHNV検査条件についで情報交換中である。
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