森林伐採およびその後の異なる林地管理がもたらす温暖化効果を評価することを目的として、滋賀県朽木村にある落葉広葉樹二次林を調査地に設定し実験を進めた。調査地内にある隣接する3つの斜面に、10m×30mの区画を全部で17区画設置し、それぞれの区画に(1)伐採後植生の再生を排除し、さらに寒冷紗をかけて温度の上昇を抑制する、(2)伐採後植生の再生を排除するのみ、(3)伐採後植生の再生を積極的に導入する、(4)非伐採(対照)、(5)その他(伐採後人為的に表土撹乱を行う場合と伐採後従来施業どおりスギ植樹する場合)の処理を、(1)〜(4)は3区画ずつ、(5)は1区画ずつ適用することとした。昨年12月から伐採作業を実施し、今年3月までに材の搬出作業を完了した。 本年度は伐採前の植生調査、土壌調査、気象観測、および土壌のガス代謝(温室効果ガスCO_2、CH_4、N_2Oの放出・吸収速度)の測定を行った。植生については、幹直径4.5cm以上の毎木調査の結果から、個体数密度1807本/ha、地上部現存量123t/ha、コナラ、アカマツ、クリでその約9割を占めているということが明らかになった。土壌のガス代謝測定はチャンバー法により昨年8月から全部で4回行った。CO_2放出速度の平均値は217mgCO_2/m^2/hr(3月)〜690mgCO_2/m^2/hr(8月)であった。一方、CH_4吸収速度のそれは0.102mgCH_4/m^2/hr(3月)〜0.154mgCH_4/m^2/hr(8月)であった。N_2O放出はまれに観測され、その最高値は0.109mgN_2O/m^2/hr(8月)であった。この測定は来年度4月以降頻度を増して行い、伐採とその後の異なる管理にともなう土壌のガス代謝の変化を正確に追跡する予定である。
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